「三月は深き紅の淵を」を読んだ 恩田陸 講談社文庫
こんにちは、咲紗(サーシャ)です。
さて、本日は「三月は深き紅の淵を」を読了しましたので、ご紹介します。
恩田陸先生の著書の中でも人気な、「理瀬シリーズ」の一番最初の本だそうです。
理瀬シリーズはつい先日、17年ぶりに新作「薔薇のなかのヘビ」が刊行されました。
あらすじ
「三月は深き紅の淵を」という題名の本をめぐる4つの短編集です。
第一章「待っている人々」
読書好きの鮫島は、その理由で会社の会長の別宅に招待された。
そこに待っていたのは、変わり者の会長と3人の友人達と、膨大な著書。
そろいもそろって大の読書好きの4人は、ある本のことを鮫島に教える。
それは「三月は深き紅の淵を」という本が、屋敷のどこかにあるのだが、10年以上見つからないとのこと。
それは珍しい本で、たった一晩しか人に貸すことが許されないという。
鮫島は、膨大な著書の中から、この本を見つけ出すことができるのか
第二章「出雲夜想曲」
編集者の隆子は、同じく編集者仲間の朱音をさそって夜行列車で伊豆旅行に出かけた。
その旅行の目的は、「三月は深き紅の淵を」の作者に会いに行くこと。
誰が書いたのかわからないその本の作者を、自分なりに推理した隆子は。それを確かめに行くのだが、そこに待っていたのは意外な事実だった。
第三章「虹と雲と鳥と」
公園の展望台から落下したとみられる少女2人の遺体が見つかった。
そのうちの一人、美佐緒の家庭教師だった奈央子は、美佐緒の元恋人、啓輔と共に二人の死の真相に迫っていくが、やがて死んだ二人が実は異母姉妹だったことが分かる。
そして、どうやら二人で旅行に行ったことがわかり、その場所に啓輔と共に行った奈央子は、ある残酷な真実を知る。
第四章「回転木馬」
ある寄宿学校に転校してきた理瀬。
それが二月の終わりだったことから、理瀬は注目される。
なぜならここは「三月の国」だから、と言われてとまどう理瀬。
そしてあるガーデンバーティ―の日、理瀬は噴水のところで、ある少女の遺体を発見するのだが、人を呼んできて戻っていると、死体は消えていた・・・。
感想
「三月は深き紅の淵を」という本を巡る4つの物語だけど、読んでいて気付いたのですが、これ、全部一冊の本として考えてはいけないようです。
4つのお話それぞれ、違う作者、違う書かれ方で、同じ題名の本があるらしいです。
だから最初、つじつまが合わなくて、訳がわからなかったのですが、無理につじつまを合わせなくても良いのだと気づきました。
第一章はなかなか面白かったです。
この集まった4人のものすごい本好きが伝わって来て、本好きってこういうシチュエーションが好きなんですよね。
でもこの本、推理小説なのだけれど、一晩しか貸してもらえないなんて、絶対読み切れないですよね。
だれかインチキして、コピーとかした人いないんですかね。
いろいろと推理をめぐらす鮫島は、ある結論にたどり着きますが、最後はニヤッとさせられます。
第二章も、面白かったです。
この作者の正体の推理には、なるほどと思いました。
が、真実は意外と身近なところにあった・・・ということですね。
その意外性には満足させられました。
なんか私も夜行列車に乗って旅がしたくなりました。
第三章は、これが一番面白かったのですが、「三月は深き紅の淵を」という小説が最後まで出てこないんですよね。
ただ、一番印象的でした。
この二人の美少女がなぜ死んだのか、何があったのか・・・
そこにあったあまりにも悲惨な現実。
その現実は二人の命まで奪ってしまいます。
そしておそらく奈央子、美佐緒が残した書記「虹と雲と鳥と」を基に、将来「三月は深き紅の淵を」を将来書くことになる・・・ということなのかな。
ちょっとわかりづらいですが、この2人の少女の死の真相には驚かされ、とても切なくなります。
第四章は、これが一番わかりづらかった。
理瀬の出て来るところはわかるのですが、どうやら「三月は深き紅の淵を」の作者であるらしい「私」が出て来るのですが、これが誰だかさっぱりわからないのです。
どうやら旅行中らしいのですが、それもよくわからず・・・
一体理瀬とどう関係しているのかわからないし・・・・
ただ、理瀬の話は面白かったです。
寄宿学校に閉じ込められるように住んでいる訳ありの生徒たち。そしてそこで起こる不可解な事件・・・
どうやらこの第四章は、理瀬シリーズの次のお話「麦の海に沈む果実」の内容を事前に簡単に紹介しているような感じらしいです。
次回作で、より詳しく、ここに出て来る謎も解けそうです。
考えたこと
全体的に、とっても不思議なムードが漂う、ちょっと変わった物語でした。
ただ、一冊の本を巡るお話というのは、本好きにはたまりません。
こういうお話好きですね。
全体的にとても読みやすくて、お話にぐいぐい引き込まれます。
そしてこの「三月は深き紅の淵を」の本は、ぜひ読んでみたいと思うのです。
こういう謎の本があったら、楽しいですね。
ぜひ一度読んでみることをお勧めします。
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