江戸川乱歩 「空中紳士」 異色の合作探偵小説を読んだ
こんにちは、咲紗(サーシャ)です。
さて、今回は、咲紗が読んだ本をご紹介します。
今回読了したのは、江戸川乱歩の「空中紳士」です。
作品概要
昭和4年。まだ戦争前の作品ですね。
すっごく面白かったです。一気に読んでしまいました。
あまり聞いたことない作品だなぁ、と思われるかもしれません。
乱歩作品にしては珍しい、異色の合作小説となっています。
乱歩は何作かリレー作品はあるのですが、合作は珍しいです。
乱歩を筆頭にして、乱歩、土師清二、長谷川伸、小酒井不木、国枝史郎の5人です。
正直言って、乱歩以外は、私の勉強不足のせいか、知らない名前ばかりです。
どうやら、推理小説家ではない方も混じっているようです。
この5人で内容を検討し、主に乱歩が書いています。
どうしてこの5人で作品をかくことになった経緯が、後の乱歩の後述にあります。
あらすじ
R国皇太子ルール殿下は、国内紛争のため日本へのがれ、巽小路侯爵がその手助けをし、自宅に匿っていました。
ルール殿下を慰めるために開かれた園遊会で、侯爵夫人のかわいがっていた獅子が逃げ出し、侯爵は殺害され、ルール殿下の行方も分からなくなってしまいます。
現場に居合わせた婦人新聞記者、星野龍子は、侯爵殺害現場にオペラグラスが落ちているのを見つけます。
更に不可解なメモが侯爵の胸ポケットに入っていました。
龍子は犯人探しに乗り出しますが、更に起こる殺人事件に誘拐事件、数々の謎が龍子の前に立ちふさがります。
数々の危険な目にあいながらも調査を続ける龍子。
そして、現場現場に居合わせては謎の行動をとっている紳士、響晰(ひびきあきら)が犯人に違いないと龍子は確信します。
一方、巽小路侯爵邸では、20年も行方不明だった侯爵の弟の突然の帰宅、侯爵未亡人の失踪など、不可解な事件が多々起こっていて・・・
というお話です。
読後に感じたこと
テンポがよく、見せ場もたくさんあって、飽きさせません。
この辺の書き方は、さすが乱歩といったところでしょうか。
ハラハラする場面も多く、龍子を応援しながら、物語の世界にどっぷりはまってしまいました。
合作大成功ですね。
そして、最後の真相が明らかになるところでは、どんでん返しとまではいきませんが、素直に驚かされました。
アガサ・クリスティーの作品によくみられる、関係者全員の前で最期に謎解きをする場面があって、ここが最大の見せ場になっていて、一息に読んでしまいました。
謎の紳士、響晰が非常に魅力的に書かれていますし、星野龍子も、昔の女性なのに新聞記者として活躍しており、行動的で、変装も得意とし、かっこいいのです。
結果として、大満足できた一冊でした。
是非、皆さんにも読んでいただきたいと思います。
しかし、合作となると、印税はどうなったのかなぁと、俗っぽいことを考えてしまった咲紗でした。
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